グルテン摂取で身体に起こることとは?

グルテンフリーが必要な人の症状や疾患が分かります。

”セリアック病”のような自己免疫疾患や、アレルギーや不耐性と言われる、体がグルテンを上手に処理できない、という方が増えています。自分や身近な人が突然そうなってしまう事もありますので、大枠は理解しておきましょう。

グルテンとは?

興味のある方は、もうネットや本でご存じのことと思いますが、初めてグルテンフリーに興味をお持ちの方は、読んでおいてくださいね。

グルテンとは、小麦・大麦・ライ麦に含まれる、グルテニンとグリアジンというたんぱく質のことをまとめて言います。

グルテンは、水と混ぜると絡み合って、弾力性のあるゲル状の物質を形成します。

こねあげたものを水で洗うと、グルテンで出来た膜のようなものが残ります。

水で洗っても結合しているので簡単には流れ出ません。

パン作りでは、小麦粉に水を混ぜて捏ねて、伸びる薄い膜のようなものを作り、ケースに入れて膨らませたり具材を混ぜたりして焼成します。

しっかりこねてグルテンの膜を多く作り出している麺などは、”コシがある”とも言われますね。

パン・うどん・パスタ等には、グルテンを強化した粉である強力粉(グルテン含有量 約12~14%)や中間的なグルテン含有量の中力粉(グルテン含有量 約8~10%)などが使われます。

薄力粉は(グルテン含有量 約5~7%)は、クッキーやケーキなどのスィーツや、天ぷらなどの料理によく使われます。

グルテンが原因で何が起こるの?

グルテンを摂取することで発症する疾患について、簡単に説明します。

尚、ここに書かれている内容は、グルテン等についてを理解し把握するためにことですので、実際の症状等については、専門医にご相談ください。

セリアック病

セリアック病は、グルテンを摂取すると、小腸の粘膜に炎症が起こり、下痢・腹痛・体重減少などの症状が出る※自己免疫疾患です。

自己免疫疾患とは自分の身体の免疫システムが自分の細胞や組織を攻撃する病気です。

免疫システムは、体内に侵入した異物を排除する役割を担っていますが、自己免疫疾患では、免疫システムが正常な細胞や組織を異物として誤認し、攻撃してしまいます。

要は、自分の身体を攻撃してしまいます。

関節リウマチ,1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデスなどの疾患を引き起こす可能性があります。

セリアック病の治療は、グルテンを完全に除去することです。グルテンを除去することで、小腸の炎症は治まり、症状は改善しますが、一生グルテンを除去する必要があります。グルテンを除去した食事にすることで、健康的な生活を送ることができるようになります。

歴史的な検証

セリアック病は、最近の疾患のような感じを受けますが、実は紀元前1500年前の古代エジプトの壁画に、セリアック病のような症状を訴えている患者らしき人物が描かれているという話もあります。

医学的に報告されたのは、19世紀後半でした。

イタリアの医師が、セリアック病の症状が出る患者を複数診察し、小麦のタンパク質が原因であると報告した、という記録があります。

このタンパク質を後に”グルテン”と命名されました。

セリアック病は、1950~60年代にかけて、世界各地で広く認知されてきて、診断方法が開発されてセリアック病患者が多く発見されました。

しかし、当時セリアック病は一般的には知られていなったので、病院に行っても体調不良の原因もわからず、仕事を失ったり家族や友人にも理解されない厳しい現実があったようです。

今から約70年前のことですが、昭和40年代生まれとしては、イメージできる頃の話ですのでびっくりです。

セリアック病は、遺伝的な要因が強く影響しているといわれていますが、最近ではアジアでも増えているようですので、発症するのは遺伝的な要素だけではなさそうです

小麦アレルギー

小麦アレルギーは、小麦のタンパク質であるグルテンに対して、体に免疫反応が起こることで引き起こされるアレルギーです。

小麦を摂取すると、すぐにアレルギー症状が現れることが多いようです。症状には、じんましん、呼吸困難、アナフィラキシーなどがあります。

小麦アレルギーの治療法は、小麦を避けることが必要です。症状の具合にもよりますが、除去する必要がある場合は、セリアック病と同様にグルテンを完全除去する必要がありますが、制限することでアレルギー症状は軽減されることが多いようです。

グルテン不耐性

グルテン不耐性とは、グルテンを摂取すると、腸に炎症が起こり、下痢や腹痛などの症状がでる病気です。

グルテン不耐性には、セリアック病と非セリアック病に分類されます。

項目セリアック病非セリアック病
原因  グルテンに対する
  自己免疫疾患
    グルテンに対する過敏症
症状  腹痛・下痢・嘔吐・便秘
 ・体重減少・成長障害・
  骨粗鬆症・貧血・不妊症など
    腹痛・下痢・膨満感・ガス・疲労感、
    頭痛・皮膚炎・関節炎など
診断  血液検査・小腸生検    血液検査・小腸生検
治療  グルテン除去食    グルテン制限食

セリアック病は、すでに説明しましたので、非セリアック型不耐性について説明します。

非セリアック型グルテン不耐性は、セリアック病ほど重症ではありませんが、下痢や腹痛、膨満感、ガスがたまる、嘔吐、疲労感などの症状がでます。

セリアック型よりも発症率は高いと考えられています。

日本では、不耐性の自覚症状をお持ちの方は多いですね。

当店でも、身体の不調や膨満感や下痢・便秘の症状があるから、しばらく小麦をやめていて、症状が改善したのでグルテンフリーを続けています、ということをよくお聞きします。

グルテン不耐性は、血液検査や小腸内視鏡検査での診断がありますが、病院にかかるほどではなく、常にある身体の不調を改善する試みという感じで実践されている人も多いですね。

人間ドックの際や病院で診断を受けた際に、突然小麦をやめた方がいい!と忠告されて、困って当店に来店される方も多いんです。

食文化による違い

環境による食生活の違いが、身体の消化機能にも影響します。

ヨーロッパでは健康食品として食べられているヨーグルトやチーズも、同じものを身体の消化機能が少し違う日本人が食べても同様の効果はないですね。

しかし、日本人がよく食べるわかめや海藻は、ヨーロッパの人が皆消化できるわけではありません。

極端な例ですが、厳寒の環境で生活しているエスキモーは、アザラシなどの肉や脂を食べて栄養補給していますが、野菜はほとんど食べません(今はどうかわかりませんが、野菜は生活圏になかったので食べられません)。

学校給食などでよく見かけますが、牛乳を飲むとお腹を下す人はよくいます。

ちなみに乳糖不耐性と言います。

小麦でも下痢や便秘になる人がいます。

日本では、米や芋類が主でそれほど小麦は食べていたわけではないので、小麦の食品が急激に増えてきたので、身体に合わない(いわゆる不耐性)人がいてもおかしくないのです。

疾患がない人におススメ!

当店では、“ゆるテンフリー”と呼んでます。

グルテンを完全に除去するほどではなく、体の不調を改善するために小麦を控える食生活のことです。

例えば、メインの原料として小麦を使っている麺や粉もの、パンは極力やめて、から揚げや天ぷら、ソースや醤油など若干含まれるものを食べることでも、かなり制限することはできます。

私は疾患ではないので、今も“ゆるテンフリー”を続けています。

自然と周りも“ゆるテンフリー”になりますね。

ここまでで、全体の内容や症状の違いなどご理解いただけましたか?

人によって好き嫌い、というよりも得意不得意な食べ物があるので、自分に合った食べ物、身体が欲している食べ物は何かを知る機会になれば幸いです。

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